「キョンシー」
「キョンシー」の作品情報
原題:殭屍
製作年:2013年
製作国:香港
監督:ジュノ・マック
製作:清水崇
出演者:チン・シュウホウ、アンソニー・チェン、パウ・ヘイチン、クララ・ワイ、チャン・ファット、リチャード・ン、ロー・ホイパン、ビリー・ロウ、モリス・ホウ
上映時間:105分
「キョンシー」のあらすじ
落ちぶれたチン・シュウホウが死に場所を求めて、とある団地にたどり着く。
チンがそこの2442号室で首を吊った瞬間、チンに双子姉妹の悪霊が取り憑き、そこへ現れたヤウに間一髪で救われる。
チンは団地内を徘徊する2442号室の元住人フォンと、その息子パクに出会う。
フォンは、かつてこの部屋で起きた忌まわしい惨劇の記憶に苛まれていたが、チンと交流することでお互い徐々に心を開いていく。
団地には服の繕いが得意なムイとその夫のトンの老夫婦も静かに暮らしていたが、ある日トンが事故死してしまう。
悲しみにくれたムイは、道士ガウに夫の蘇りを依頼する。
ガウは双子の悪霊の力を使い、トンを復活させることに成功するが、彼は全く制御の効かない凶暴なキョンシーと化してしまう。
そして、チンはヤウの力を借りて、キョンシーと死闘を繰り広げるのであった。
「キョンシー」の感想
香港のアーティスト、ジュノ・マック(監督)と、『呪怨』シリーズ監督の清水崇(プロデューサー)がタッグを組んで製作されたダーク・ホラー。
2013年の第26回東京国際映画祭では『リゴル・モルティス/死後硬直』の邦題で公開されました。
チン・シュウホウ、アンソニー・チェン、チャン・ファット、リチャード・ン、ビリー・ロウなど、過去の「霊幻道士」シリーズに出演した俳優が数多く出演しています。
また、『霊幻道士』の挿入歌「鬼新娘」が使われるなど、劇中に数々のオマージュが散りばめられている作品です。
これだけ聞くと、過去の「霊幻道士」シリーズのファンは、心が躍ってしまいますね!
ただし、この『キョンシー』はコメディ一要素が全くない、バイオレンス・ホラーなんです。
エグい描写も多いので、かつての「霊幻道士」シリーズのようなコメディ・ホラーを期待していると、見事に裏切られるのでご注意を!
ちなみに本作はR-15指定となっていますので、15歳未満のお子様は鑑賞できませんよ。
残念なのは、リッキー・ホイ(『霊幻道士』のモンチョイ)とポーリン・ウォン(『霊幻道士』のシャンシー)が出演していないことです。
リッキー・ホイは脚本を執筆中に亡くなってしまい、ポーリン・ウォンは撮影直前に手術することになってしまったそうです。
悲しいですね・・・。
落ちぶれたチン・シュウホウ(チン・シュウホウ、本人役です)が、とある団地にたどり着くところから物語が始まるのですが、清水崇監督(今作ではプロデューサー)が得意とするジャパニーズホラーのような不気味な雰囲気が漂っています。
幽霊に乗り移られたチンを救うヤウを演じているのは、『霊幻道士完結篇』でゴクウ道士を演じていたアンソニー・チェンです。
チン・シュウホウとアンソニー・チェンは、見た目が昔のままなのですぐに分かるのですが、リチャード・ン(『霊幻道士3』のミン道士)とビリー・ロウ(『霊幻道士』の隊長ウェイ)は見た目が変わっていてすぐには分かりませんでした。
リチャード・ンはずいぶん太っている上にだいぶ老けたメイクなので、『霊幻道士3』の時と印象がまったく違います。
「霊幻道士」シリーズでは何度もコメディーリリーフとして活躍していたビリー・ロウが、今作ではびっくりするほどかすんでいます!
シリアスな作品では、ビリー・ロウを活躍させるのは難しいかな?
僕は、食堂のコックがビリー・ロウであることにすぐには気づきませんでした。
見た目がだいぶ変わっていますね。
変わっていると言えば、本作に出てくるキョンシーです。
動きも見た目も、かつての「霊幻道士」シリーズに出てきたキョンシーとは全然違います!
キョンシーというよりも謎のモンスターですね。
この作品で一番怖ろしいのは、どう考えてもムイ(パウ・ヘイチン)です。
夫のトン(リチャード・ン)を蘇らせたいという気持ちは分かりますが、そのためにパク(モリス・ホウ)を犠牲にするシーンは残酷すぎる!
ムイがイン(ロー・ホイパン)を殴り殺すのも無茶苦茶です!
始めはやさしいおばさんだったのに、だんだんと気が狂っていくのが怖ろしい・・・。
ちなみに本作の監督ジュノ・マックは香港のミュージシャンで、デビュー前には日本でTRFのSAMさんからダンスを習っていたそうです。
驚いたことにこの『キョンシー』はジュノ・マックの初監督作品なのです。
初めてでこんな作品を作れるなんてすごいですね!
「天は二物を与えず」と言いますが、世の中にはちゃんと例外がいるのです。
この作品は「霊幻道士」シリーズで活躍したチン・シュウホウの末路を描いた内容になっているのですが、後味が悪いので往年のキョンシーファンの中では賛否両論がはっきり分かれてしまいそうですね。
僕はこの映画のオチにガッカリしてしまいました(笑)。
グロテスクな表現、特に血が多いのでそういうのが苦手な方にはおすすめできない作品です。
ただ、CGを駆使した映像はなかなかのクオリティで見ごたえがありますよ。
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