「霊幻道士完結篇 最後の霊戦」
「霊幻道士完結篇」の作品情報
原題:殭屍叔叔
製作年:1988年
製作国:香港
監督:リッキー・ラウ
製作:サモ・ハン・キンポー、チン・プイ・ワー
出演者:アンソニー・チェン、チン・カーロッ、ウー・マ、ロレッタ・リー、チャン・ファット、ホー・キンウェイ、ウォン・ヨォクワン
上映時間:93分
「霊幻道士完結篇」のあらすじ
昔々、人里から遠く離れた山奥に2軒の家があり、それぞれに道士と和尚が弟子と共に暮らしていた。
ところが、この2人は顔を合わせる度に喧嘩を始めてしまうほど非常に仲が悪く、道士のいたずらと和尚の仕返しが毎日のように行われていた。
そんなある日、道士の後輩が隊を成して黄金の棺を運ぶ場面に遭遇し、その棺に眠る者がキョンシーである事を知った道士は一抹の不安を覚えつつも、魔除けの力を持つ餅米を託して後輩を見送った。
その夜、森の中で突然に激しい雷雨に襲われた一隊が急いで野営の準備をしていた最中に棺の封印が解けてしまい、キョンシーが蘇ってしまう。
「霊幻道士完結篇」の感想
19世紀の中国を舞台にした「霊幻道士」シリーズの第4弾です。
タイトルに「完結篇」とありますが、作品はまだまだ続きます。
なぜ、こんなタイトルにしたのかは謎です。
今作の特徴はなんと言っても、「道士がラム・チェンインではない!」ところではないでしょうか。
今作に出てくるゴクウ道士は、『霊幻道士』の最初と最後に出てきたキョンシー隊を操る道士役のアンソニー・チェンが演じています。
道士を演じる役者は違いますが、日本語吹き替えの声優さんは同じという点がなかなか面白いですね。
役者は違うのに声が同じでも、違和感がないという不思議。(←あくまでも個人的な感想)
ゴクウ道士と犬猿の仲である、あんぱん和尚を演じるウー・マは、『霊幻道士』でせこい米屋の親父として出演していました。
あんぱん和尚の日本語吹き替えの声優さんは国民的アニメ「サザエさん」のマスオさんと同じなので、声が気になって仕方ない(笑)。(←あくまでも個人的な感想)
ゴクウ道士の弟子・ポテトを演じるチン・カーロッは、『霊幻道士』に出ていたチュウサム役のチン・シュウホウの弟です。
子供っぽくて、まぬけな奴なんですが、運動神経抜群で実は強い!
とても鍛え抜かれた体をしています。
他にも、かわいいけど気が強いチンチン(←女の子なのにこんな名前でいいのか!)や、オカマのカラス丸など個性豊かなキャラクターが登場します。
そして、登場するキャラクターのほぼ全員がまぬけな人達です!
とにかく、この作品はコメディ色が強くて、全然ホラー映画じゃありません(笑)。
映画のオープニングに流れる音楽は明るく爽やかで、「これホントに霊幻道士なの?」って感じです。
ストーリーの前半はひたすらコメディーで、ほとんどのシーンをカットしてもキョンシー映画としては成立しそうですね。
コメディーが好きな人にとっては楽しい展開で、そうじゃない人にとっては眠たくなる展開かもしれません。
ポテトがチンチン(ロレッタ・リー)を怒らせてしまった時に、チンチンの怒りを鎮めるためにあんぱん和尚がポテトをこらしめているかのような猿芝居をするのですが、やっていることはかなりきつい。
わざとやっているんだから、もっと手加減すればいいのにね。
ゴクウ道士は、キツネの妖怪(ウォン・ヨォクワン)の色仕掛けにあっさりと引っかかったり、あんぱん和尚と子供みたいなケンカを繰り返したりして、とても腕の立つ道士には見えない。
だけど、いざという時は強いんですよね。
ポテトに対しては、やたらと厳しくてパワハラが多いし、短気ですぐ怒る。
全然尊敬できる道士ではないけど、ポテトはゴクウ道士を慕っているという奇妙な子弟関係なんです。
前半のふざけたコメディーシーンの数々はそれなりに面白いのですが、ゴクウ道士とあんぱん和尚が食事中にケンカをするシーンは「やりすぎでしょ!今テレビで放映したら、苦情が来てしまうよ」と突っ込みたくなります。
お互いにおかずをぶつけあったり、あんぱん和尚が鼻に入った豆を飛ばしてゴクウ道士の口に入るシーンは、人によっては不快に感じるでしょう。
その他にもゴクウ道士達はいろんなことをやらかします(笑)。
僕が気になった、ゴクウ道士とあんぱん和尚の迷言を2つ書いておきます。
・あんぱん和尚「サインよりも拇印(ぼいん)の方がよかろう。女性の胸はボインボイン。」
・ゴクウ道士「長い道中、道長はどうちゅるか」
こんなコメディーたっぷりの物語は、途中からいきなりシリアスになります。
ジャンボキョンシーが蘇って次々と人々を襲うのですが、このキョンシーはとても強くて、お札がきかない!
ゴクウ道士とあんぱん和尚が束になってかかっても、なかなか倒せない強敵なんです。
ポテトとチンチンはジャンボキョンシーに噛まれた家来たちと戦うのですが、ポテトのアクションシーンはすごくて見ごたえがあります。
このジャンボキョンシーの登場によって、事態はどんどん悪化していくのですが、それでもコメディーの要素は忘れません。
おかまのカラス丸がポテトに人工呼吸をしたり、キョンシーの動きを止めるために床に塗った水あめを自分達で踏んで動けなくなるなど、まぬけな展開が続きます。
最終的にはジャンボキョンシーをみんなでやっつけるのですが、法術じゃなくて毒薬を使うというやり方で、もはや道士の力は必要ない!
ジャンボキョンシーの役者さんが、見ていてかわいそうになるほど体を張っています!!
この作品ほど笑いの要素が満載のホラー映画も珍しいと思います。
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